2010年11月5日金曜日

(8) レトリーバーの気質とイエイヌの起源

ピートが我が家に来て以来、犬という動物への考え方が変わってしまった。従来持っていた 犬のイメージは、犬即ち番犬という通念であり、過去の飼い方もそれ様であった。ピートのフレンドリーな行動を見ていると、犬というよりファミリーとして人格化したくなる想いに駆られるが、それは日本古来の犬に対する常識から逸脱することになる。

(硫黄岳への途中、オーレン小屋のスタッフと・・。 誠にフレンドリーな犬である)
 
そもそも狼からイエイヌが分かれたのは、15000年前と言われている。このような短期間で狼の持つ特徴的な性質を消し去り、フレンドリーさという気質をレトリーバーに持たせ得たのは、理由はともかく、人類の並々ならぬ努力の結果であると賞賛すべきことなのかも知れない。

(ヘラ鹿を追う狼の群れ。 Wikipediaより) 

レトリーバーのフレンドリーさは、面白いことに気質として遺伝されて行く。私達がイエイヌに持っている気質の概念は、躾けによって身に付けるという、言わば後天的に作られた一代限りのものという考え方だった。それが、先天的な気質として代々遺伝されて行くのだから、これはもう不思議と言う他はない。

しかし、狼からイエイヌへの分岐が15000年前というのは、何億年という進化のスパンから考えて、にわかに信じ難い。そこで、その信憑性を少し調べてみた。狼からイエイヌへの分岐年代の根拠は、ミトコンドリアDNAの塩基配列の変化を分析した結果で、2002年にサイエンスに発表されたものであった。これは、ミトコンドリアDNAがもつ、ゆっくりとした塩基置換速度を分子時計として使ったもので、14000年前にドイツの遺跡から出土したイエイヌ化石の考古学上の年代測定ともほぼ一致する。

(狼の形相でボールを追うピート)

然しながら、イエイヌの起源以上に興味をそそられるのは、どのようにして狼をイエイヌの気質にまでもっていったかである。これは、選別という過程を経てきたからと言ってしまえばそうなのかも知れないが、未だ明確な答を誰も知り得ないでいる。また、なぜ気質までも遺伝情報として伝わっていくのか、甚だ疑問でもある。 ピートが我が家へ来なければ、このようなことは考えもしなかったろうに・・・。

(ゆったりと談笑するピート。 1万5千年前は、本当に狼だったのだろうか)

0 件のコメント:

コメントを投稿