2010年11月11日木曜日

(9) リーダーの資質とは

犬は、リーダーをどのようにして選ぶのであろうか。
自然界の狼は、群れの中の闘争によってリーダーの地位を得る。人間社会に溶け込んだイエイヌは、闘争ではなく、民主的にリーダーを '選ぶ'という方法を取っている。これは、あくまで家族との相対関係における範囲で、自分の眼力によって選んでいるようである。

(リーダーに毛づくろいをしてもらうピート。そこには信頼関係がある)

ピートを見ていると、一日の内で自分に最も長く関わっている人間をリーダーとして見ているような気がする。我が家では、それが家内であるのだが、概ねどこの家庭でも、そのような傾向にあるのではないだろうか。
  
ピートは家族で居る時、常にリーダーの動きを注視している。私が何を言おうが、ピートの目線はリーダーの居る方向に向いている。しかし、私がフードを持つとこの限りではない。そこが、ラブという犬種の面白いところである。
  
食料との関係からピートの見方を推察すると、食料をフードボウルに入れて運んでくるのは家内である。しかも、殆ど毎日がそうである。その観点から見れば、リーダーの資質は、如何に食料を確保する能力に長けているかである。だとすれば、私の存在は、単に従属している関係に過ぎないと、ピートの目には映っているのだろう。だからピートは、その辺の事情も総合的に考慮した上で、家内をリーダーとして選ぶ判断を下したのだろう。
  
(リーダーに従って冬山を登攀する)

リーダーと同じような意味でボスという存在がある。この違いについて、東京大学農学部獣医動物行動学研究室の武内ゆかり先生が、Harry Gordon Selfridge の言葉を引用して見事に述べられているのを、尾形さんという方が紹介していた。それによると、
  
  ・ボスは不安を与え、リーダーは信頼を得る。   
  ・ボスはどうすればいいのかを知っているが、リーダーはどうすればいいのかを示す。   
  ・ボスは権力に頼り、リーダーは協力に頼る。   
  ・ボスは怒りを起こし、リーダーはやる気を起こさせる。
  
というものであった。
  
人間社会も、何やら似たような感じではないか。この言葉から、私達がピートの真のリーダーと成り得るには、まだまだ経験を積まなければならないと感じるのである。

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