2010年8月1日日曜日

(4)ラブラドールの夏

( 真夏の森で、フィトンチッドを体いっぱいに浴びるピート)

高温多湿な日本の夏は、ラブラドールが過ごすにはどうなのだろうか。
元々ラブラドールは、北緯60度付近に位置するカナダのラブラドル半島で使役に就いていた犬であると聞く。この地域は、極東で言えばカムチャッカ半島の付け根、欧州ではオスロやストックホルムの緯度になり、もう少し行けば北極圏に達する位置である。
(赤色がラブラドール地方・・・ウィキペディアより )

寒流が流れるラブラドル半島の気候は厳しく、7月の日中気温は海岸沿いで10℃、内陸部でも13 ~15℃くらいである。これは、真夏の富士山8合目付近(約3200m)に相当する。一方、日本の7月の日中気温は、地方によっては34℃にもなり、ラブラドル半島内陸部との気温差は20℃に達する。 ロンドンでも7月の気温は20℃くらいであるから、ラブラドールにとって、日本の夏は耐え難い気候であると言える。夏に、この犬種特有の皮膚炎などの症状が現れてくるのは、このためではないだろうか。

日本の過酷な夏を過ごさせるには、ラブラドール地方に準じた室温設定にしなければならないのだろうが、問題は外気温との差である。この差が、ラブラドールの体質にどう影響するのか分からない以上、自己責任で環境設定の試行錯誤を繰り返すしかない。因みに、盲導犬訓練センターでは室温を24時間管理しているらしいが、専門家を配置し、管理が行き届いた洋式の犬舎と、家庭犬が住む日本の住環境では、余りにも違いが大きい。結局のところ、日本には、どうすべきかのデータが無いのである。

本来ならば、このような北方系犬種を輸入・繁殖する場合、犬のためにも、日本での生活環境の考察があって然るべきだと思うが、その種の資料を見掛けたことがない。簡単に書かれた書物はあっても、欧米の飼育環境を真似ているだけであまり参考にならない。ラブラドールという犬種が日本で数多く飼われている現在、飼い主に対し、獣医師会やブリーダーからの体系的な助言がないというのも不思議なことである。

これに限らず、日本の環境に合った盲導犬や介助犬などを独自に創り出せなかったことが、欧州系のラブラドールという犬種の性格に依存しなければならない理由だとすれば、なんともはや、 これが日欧の犬に対する歴史的な文明の違いだと思えてならないのである。

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