事の経緯は、数年前、家族でもう一度犬を飼おうと相談したことから始まった。
知人からの耳伝で、キャリアチェンジ犬の存在を知ったのもその頃である。折りしも映画「クイール」が評判となっていた時期でもあり、大胆にも、気軽な気分で盲導犬協会にキャリアチェンジ犬の譲渡を申し込んだ。
送付されてきた申請書に、家族構成や家の間取り等を、それも非常に詳しく記入する必要があった。何故ここまでと思ったが、犬先進国のドイツやイギリスでは、普通に犬を飼う場合でも同じような手続きが必要と聞く。盲導犬協会も、そのシステムと同様なプロセスを踏んでいるらしかった。これは、犬の生活環境や将来を考慮しての審査だと思えた。私たち家族が、それに耐えうるかどうかの審査である。
一応の書類審査後、更に2年ほど待たされると聞いていたが、どういう訳か2ヶ月程で面接通知が来た。盲導犬協会で犬に対する小一時間程のレクチャーを受けた後、我が家に来るであろうラブラドール・レトリーバーと対面した。
名前はピート。パピーウォーカーさんが、予め付けておいてくれた名前である。
私は、間近で大きなラブラドールを見たのは初めてであり、リードを持つことに少し恐怖感を覚えていた。家内は、事前にラブラドールについての知識を習得していたらしく、何のためらいも無くリードを持ってスイスイとお試し歩行を始めた。
そして、いよいよピートが我家にやって来ることになった。西欧文明と共に・・・。
この文明が、私達に少なからずショックを与えることになるのである。
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